ARISS School Contact 2006

In Kashiwabara

ARISS で狭山市柏原の小学校と宇宙ステーションが交信!

ARISS(Amateur Radio on the International Space Station)はアマチュア無線の電波で、上空400㎞にある国際宇宙ステーションの宇宙飛行士と子どもたちが交信するNASAの教育プログラムです。世界中で行われているイベントで、日本国内では、お隣の入間市の児童センターで国際宇宙ステーションとの交信を行ったのが最初です。

2006年、私たちスタークラブの前進でもあるARISS in Kashiwabara実行委員会が国際宇宙ステーションとの交信に成功しました。

50名の子どもが半年以上かけて交信の準備。

このイベントは柏原公民館の事業の中でも人気事業となり50名の定員に多数の応募がありました。多数の応募の中から50名が選ばれ、ミッションのスタートです。

国際宇宙ステーションの中では、英語とロシア語で会話がされています。当時ISS内に日本人宇宙飛行士はいなかったため、宇宙ステーションのコマンダー と英語で交信することになりました。

そのため、子どもたちはATLの先生らから英語を学び、聞きたい内容を英語にして発音の練習を繰り返し行いました。

国際宇宙ステーションは時速およそ3万kmというものすごい速さで移動しています。地平線から現れて、地平線に沈むまでの間は長くても10分程度です。その間に交信できる子どもはおよそ20名程度。子どもたちは何度も練習し、ATLのマチュリナ先生と、柏原にお住いの英語教員野口先生の指導のもと、国際社会には英語も必要だという事を学びました。

みんな英語をしっかり話せるようになった後は、緊張の選抜試験により更新するメンバーを先生らとの面接で選びました。選ばれなかった子どもたちも当日学習してきた内容の発表を行うという重要なミッションがまっています。

宇宙について学び、筑波宇宙センター訪問!

ARISSで宇宙飛行士と話をするために宇宙の知識は不可欠です。JAXAの職員の方が柏原公民館を訪れ、参加している子どもたちに宇宙のしくみや、宇宙開発について楽しく講義をしてもらいました。宇宙はまだまだ未知の部分が沢山あるため、子どもたちからはたくさんの質問が寄せられました。

今回の交信には、アマチュア無線を使います。アマチュア無線は最先端の宇宙開発の中で最後のライフラインと考えられている通信手段です。アマチュア無線の電波は、中継局を通すことなく直接宇宙ステーションに届きます。こういった電波が届く仕組みなどは、一橋大学教授の安田先生からしっかりと学びました。

やはり机上の学習ばかりではイメージがわきません。JAXAのつくば宇宙センターを訪問して宇宙飛行士の訓練施設や宇宙開発について実物やモックを見ながら実際の施設を体験して学びました。

宇宙のミッションは遅れがつきもの

スペースシャトルは2011年7月28日の打ち上げを最後にその役目を終えましたが、私たちがARISSを行った当時(2006年)はスペースシャトルが運行していました。スペースシャトルは打ち上げが良く遅れます。この打ち上げの遅れは、私たちのARISSスクールコンタクトにも影響しました。最初は2006年夏くらいに交信予定だったものが、どんどん遅れていきましたが、これは宇宙ステーションでの急なミッションやスペースシャトルの打ち上げの遅れが原因でした。子どもたちはいつもニュースにくぎ付けになりシャトルの延期に次ぐ延期にいら立ちを覚えるようにしていました。しかし「またシャトルが延期になったー」など宇宙開発が身近に感じる瞬間だったとも言えます。結局2006年9月9日にアトランティス(STS-115)と12月9日のディスカバリー号(STS-116)の打ち上げの後にARISS in Kashiwabaraが行われることになりました。

待ちに待った当日 Mission 12.27

12月9日(日本時間は10日)にディスカバリー号が打ちあがり12月23日(日本時間は24日)に地球に無事帰還しました。もう冬休みに入り、年内の交信はダメかとあきらめていた時にNASAから27日ならできるとの情報が入りました。私たちは再三の延期にも耐え、いよいよ年の瀬の夜12月27日にその日を迎えることになりました。

交信に向かい急ピッチで準備がすすめられ、当日会場は地元の人たちや保護者の方たちおよそ400名以上が集まりました。狭山市内では初のARISSスクールコンタクトによる国際宇宙ステーションとの交信になります。

更新可能な時間は21時21分ごろからです。国際宇宙ステーションはいつも上空にあるわけではなく、一定の軌道で動いています。ですから、丁度柏原に近い上空を通るときを狙って交信を行います。

その日は午後から実行委員会が集まり、19時よりリハーサルを行い20時15分から会場でセレモニーなどを行いました。

多くの来賓の方も訪れ、この瞬間を共有しようとかたずをのんで見守ります。

ISSの軌道は柏原小学校の西側、朝鮮半島方面から登り、千葉方面へ抜けていくようなルートです。

定刻21時21分、いよいよメインオペレータがコールを開始します。

コールサインは8J1K 成功するのか??

いよいよコール開始です。

コール開始するも、最初の4分間コンタクトが取れません、、、。

何度も国際宇宙ステーションのコールサインNA1SSと自局のコールサイン8J1Kをコールします。無情にも雑音だけが帰ってくる状態が続きますが4分程度たった瞬間突然コマンダーの声がスピーカーから響きます!

その時の映像を掲載しますのでご覧ください。

15人程度の交信にとどまりましたが、無事交信に成功しました。

私たちの活動は記念誌にまとめました。

柏原ARISSスクールコンタクトは多くの人々と地元企業の協力により実現することができました。活動の記録は記念誌にまとめ、参加者全員と関係者の下に動画が入ったDVDと共に配布されました。


実行委員会メンバー

  • 実行委員長:吉田徹弥 / 副実行委員長:岡野延行/顧問:安田聖
  • 実行委員:野口隆司/高橋マチュリナ/忍成浩之/早川智文/渡邉宏祐/諸井仁/野村淳一
  • 協力委員:上原重利/谷川輝之/畠山昭/大場幹雄/水谷博/和田直樹